2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ウチそと研通信26 −原風景−

先日、東京都写真美術館の柴田敏雄展を見た。昔、誰だったか外国のミュージシャンが日本の田んぼを見てコンピュータチップのようだと言っていたが、几帳面にコンクリートで覆われたのり面を見ていると新しいけれどどこか懐かしい、美しいけれどなんとなく痛…

ウチそと研通信25 −「W・G・ゼーバルトと挿入された写真」−

ここのところ遅ればせながら、ゼーバルトの散文作品を少しずつ読み始めている。ゼーバルトは1944年、ドイツに生まれ、後年英国で近現代ドイツ文学の講座を持っていた人物とある。2001年に事故死をしている。 私は数冊の翻訳された散文作品に眼を通し…

ウチそと研通信24 −模倣について−

中学生だった頃、自分や他人のしぐさ、発語、ふるまいのことごとくが既に誰かによって演じられた先例の模倣をくり返しているだけじゃないかと思えてしまったことがあり、やりきれない感じがしてならなかった。しかし、そういって嘆くことだって、それ自体が…

ウチそと研通信23 −「夜会」の半券−

或るとき、村全体の住民が突然消失し、後には食べかけのトースト、干しかけの洗濯物がそのままテーブルや洗濯機のそばに置かれている。そして壁の時計だけはこつこつと時を静かに刻んでいる。そのような情景が超常的な物語のなかによく描かれていたりする。 …