2012-01-01から1年間の記事一覧

ウチそと研通信104 −第6回課外講座のご報告−

9月1日に開催された大日方さんの連続課外講座、“異色の写真家列伝《大辻清司のケハイ(気配)》”のご報告です。当日の様子の抜粋です、お楽しみください。

ウチそと研通信103 −ミュージアムと時間 その3−

七夕やパンダの話題からだいぶ遅れてしまったが、植物のササの話である。少し前のことになるが、ある講演会でササの生態について話を聞く機会があった。 (http://www.akita-pu.ac.jp/stic/souran/study/detail.php?id=75) ササは低い山などの下生えとして…

ウチそと研通信102 −異色の写真家列伝@四谷ひろば−

写真の内側・外側研究会 課外講座のお知らせです! 異色の写真家列伝 第6回 大辻清司のケハイ(気配) 前回の課外講座(2012年2月開催)では、写真家大辻清司(1923-2001)の1950年代の作品をおもに扱いましたが、今回はその続編。1960年代末から70年代、そ…

ウチそと研通信101 −いきなり襲われる−

前回、短い行を引用する目的で久しぶりに中井久夫氏のエッセイ集『徴候・記憶・外傷』(みすず書房)を探し、その頁を開いた。僕はこの本をまだ読み終えていないと思う。気になるところを読みかじる程度の読み方しかしてこなかったのだが、気になるのはたと…

ウチそと研通信100 −ケハイ写真−

先月23日に会期を終えた大辻清司フォトアーカイブ展について、会期中からさまざまな反響の声に接することができた。FFLLAATTというウェブサイトで連載されている大嶋浩さんから長文の批評をいただいたことをきっかけに、大辻展開催中の6月18日、美術館ホ…

ウチそと研通信99 −人間と物質の余白に−

大辻清司フォトアーカイブ展の会場では、作品の撤収、仮設壁をとり壊す作業もひととおり完了した。展示第三部のむすび近くに配した、大辻作品「そして家はなくなった」を反復したような気分が残る。からっぽに戻った空間はこうもカッコいいものか、と、見と…

ウチそと研通信98 −須磨1968、代々木1969−

展覧会(大辻清司フォトアーカイブ展@ムサビ)は、終わった。誰もいなくなった会場で、ガイドを続けよう。第三部「建築と環境」では、都市インフラストラクチャー系の写真に挟みこむかたちで、1960年代末から70年代初めの3つのアート・イヴェントを撮った…

ウチそと研通信97 −それは過程の世界−

大辻清司フォトアーカイブ展@ムサビの会期は、あと3日を残すばかりだ。土曜23日が最終日。1960年代以降の後期大辻を扱う第三部「建築と環境」のガイドを続けたいのだけれど、このパートのタイトルは多少の無理を承知で、「見えない都市」としてもよ…

ウチそと研通信96 −60年代へ−

前回紹介した浪曲の玉川奈々福さんが、一昨日、「大辻清司フォトアーカイブ展」を観に来てくださった! 武智鉄二演出「きりしとほろ上人伝」の舞台写真に写っている浪曲師が木村若衛さんであることを教えていただけたばかりか、他の作品についてのご質問もた…

ウチそと研通信95 −3人の芥川−

大辻清司フォトアーカイブ展のガイドをしている途中だった。第二部「表現の現場から」に並べたプリント、後になって気づいたのだが、ハリガネ系の男性アーティストの写真を中心に選んでいる。剣持勇、毛利武士郎、石元泰博、芥川比呂志、三島由紀夫(ボディ…

ウチそと研通信94 −表現の現場から−

大辻清司フォトアーカイブ展ガイドを続けよう。プロジェクションによる実験工房(バレエ実験劇場、及び「月に憑かれたピエロ」)のパートを構成していく過程であらため感じたのは、大辻さんが動体視力にすぐれた写真家だったこと。静かなるまなざしの人、と…

ウチそと研通信93 −フォトアーカイブ展ガイド−

武蔵野美術大学の美術館で開催中の「大辻清司フォトアーカイブ展」が、会期最終週(〜6月23日最終日)に入ろうとしている。もうご覧になりましたか?この展示の準備をいつから始めたのか、といえば大辻さんの仕事場に月1回のペースで調査に通いだした十六七…

ウチそと研通信92 「写真の状態」から −ゲルハルト・リヒターの展示を見る−

先だって所用でベルリンに行った際、Iさんのお誘いで折りよくゲルハルト・リヒターの展示を見ることができた。会場の新国立美術館では列を作って入場を待つという状態で、きわめて人気の高い様子をうかがわせていた。いささか恥ずかしい話だが、リヒターの作…

ウチそと研通信91 −ミュージアムと時間 その2−

前回は、国立歴史民俗博物館の「風景の記録 − 写真資料を考える −」展について触れた。 博物館ではないが写真の活用例として最近目にした記事に、横浜市立図書館の「丘のヨコハマ写真館」(http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/library/localinfo/hokubu/…

ウチそと研通信90 −第5回課外講座のご報告−

2月25日に開催された大日方さんの課外講座、“異色の写真家列伝《大辻清司1956−無言歌ものがたり》”のご報告です。 課外講座は今回で第5回目、第1回目の北代省三と同じく「実験工房」で活躍した大辻清司について取り上げ、1956年の作品である「無言歌」…

ウチそと通信89 −実験工房メモ−

http://bit.ly/wVltFc 山口勝弘氏は、佐谷画廊の北代省三展(1994年)図録の中でこう述べている。 「…僕が思うに北代省三という人間も、その人の生き方も、その作品もすべてあらゆる角度からみて『現代美術』とはほとんど無縁の地点に立っているのである。こ…

ウチそと研通信88 − 二つの展示の中で見た写真の感想 −

先日、目黒区美術館で各ジャンルの作家7人の作品で構成される「メグロアドレス−都会に生きる作家−」展を見た。そのなかのひとり、今井智己さんの写真作品のいくつかにふれて、不思議な感触が生じてなかなか面白かった。他ジャンルの展示のなかで今井さんの写…

ウチそと研通信87 − ウチそと研。課外講座のご報告 −

2月25日の土曜日夜、第5回目のウチそと研主催の課外講座、大日方欣一さんの講演がおよそ2時間半に渡って、四谷三丁目で行われました。写真家大辻清司さんの「無言歌」という作品を中心に、大辻さんの写真について話が進められましたが、大勢の皆さんが…

ウチそと研通信86 −異色の写真家列伝第5回−

年2回のペースで冬と夏に開催している公開レクチャーも3年目に入りました。下記のとおり、お知らせいたします。皆さま、どうぞお気軽にご参加ください! 写真の内側外側研究会・課外講座シリーズ 異色の写真家列伝 第5回 《大辻清司1956−無言歌ものが…

ウチそと研通信85 −4枚を眺めて−

ロバート・フランク《ホテルの窓からの眺め−モンタナ州ビュート》1954-55、ジョン・ゴセジ《ロマンス・インダストリー#175》1998、ディーター・アッペルト《吐息で曇った鏡》1977、ウォーカー・エヴァンズ《フランク・トングの家で撮ったスナップショット》…

ウチそと研通信84 −ミュージアムと時間 その1−

昨年暮れ、国立歴史民俗博物館の「風景の記録 − 写真資料を考える −」展を観に行った。この博物館の企画展は面白いものが多い。今回も見ごたえのあるものだった。 「風景や歴史や文化が人びとのくらしのよりどころになっている」 「人々は風景のなかでくらし…