2011-01-01から1年間の記事一覧

ウチそと研通信83 −ポーラ ミュージアム アネックスで見たファッション写真−

先日、銀座のポーラミュージアムアネックスでのファッション写真の展示、「Chic and Luxury」展を興味深くみた。古いものでホルスト、新しいところでは1983年制作というヘルムート・ニュートンまで、ヴォーグ、バザーなどのファッション誌に使われたと思われ…

ウチそと研通信82 −ローレンツ氏の蝶(イベント告知)−

若い(干支でちょうど一回り、僕より若いのでそう言っておきますが)写真家の小平雅尋さんが、写真集『ローレンツ氏の蝶』を作りました。写真出版の自主レーベル「シンメトリー」を設立して、そこからの出版です。プレスリリース用の案内に、彼を紹介する文…

ウチそと研通信81 −水平垂直の世界−

四角形がいつ発明されたのかについて、以前、少々触れたことがあった(ウチそと研通信52−フレームのウチそと5−)。赤瀬川原平氏の『四角形の歴史』(毎日新聞社)によれば、地面の上に何かモノを並べたときの列の重なりが四角形を生んだのではないかと推測…

ウチそと研通信80 −曖昧さの固定−

マンションの折り込み広告だとか、雑誌に載っている新しいショップの完成イメージ、完成予想図。それから、化粧品や洗剤、薬品などのテレビコマーシャルによくある、人体の各部の断面のイメージ。たとえ想像図や模式図であるという注意書きがあったとしても…

ウチそと研通信79 −第4回課外講座のご報告−

8月27日、ウチそと研の課外講座、「桑原甲子雄1937年の足どりを辿る」が開催されました。 課外講座「異色の写真家列伝」は、“古今東西のユニークな活動を繰り広げる写真家にスポットライトをあて、毎回一名ずつ、その人と作品を紹介していく連続講座”です。 …

[お知らせ]ウチそと研通信78 −異色の写真家列伝第4回−

写真の内側外側研究会・課外講座異色の写真家列伝 第4回 《桑原甲子雄1937年の足どりを辿る》この年、東京市下谷車坂町在住の青年桑原甲子雄(1913年生まれ)は24歳、家業を手伝うかたわら数年前から始めた街歩きのスナップ撮影にいっそう身を入れ、「フォ…

ウチそと研通信77  −不鮮明な挿画−

先日、授業を担当している学校の生徒の一人が写真集「抱擁」を見て、細江英公さんのことを知りたいと言ってきたことがあった。そのときは頭の中を様々なことがよぎり、ひとことではなかなか言えそうもないと思ったけれど、「抱擁」の男女の裸体の組み合わせ…

ウチそと研通信76 ― 記憶と保存 ―

過去の出来事とまったく同じことが将来に繰り返されることはないのですが、日常のたいていの出来事は「また今度、会いましょう」的に、すぐにまた出会えるような気持でいて安心していました。が、今となってはどんな些細な出来事も一度きりのもので二度目は…

[大日方欣一]ウチそと研通信75 −カーテン、模造紙、吐息、とめ釘−

スティーヴン・ショアー著『写真の本質』(PAIDON)は、なにぶん言葉が少ないこともあるし、熟読しようにもしにくい、斜め読みをくり返すほかないような性質の本である。ショアーが仮設する枠組み(物理的レヴェル、描写レヴェル、メンタル・レヴェル)にそ…

ウチそと研通信74 −石元さんのこと−

4月6日に港区にある国際文化会館で、石元泰博さんの話を聞く機会があった。地震の後の、私たちが今経験している不思議な街の暗さの中、地下鉄の駅出口から急な鳥居坂を、やはり不思議な三人がブリューゲルの絵のように、もつれ連れ立って会場へと向かった…

ウチそと研通信73 −夢こそ現実であれば−

昨年暮れ、仕事で掛川を訪れた際に、資生堂アートハウス「駒井哲郎作品展・黒と白の旋律」を観る機会があった。版画では長谷川潔の詩的な雰囲気が好きだったが、こちらはまた違った味わいで、すっかり魅了されてしまった。小さなフレームの中の微妙な陰影、…

[お知らせ]ウチそと研通信72 −異色の写真家列伝シリーズVOL.3−

年2回開催している恒例企画、第3回目の期日が近づいてきました。ご案内申し上げます!(大日方) 写真の内側・外側研究会 課外講座シリーズ 「異色の写真家列伝」第3回《牛腸茂雄の写真・再考》古今東西でユニークな活動をくり広げる写真家にスポットライ…

ウチそと研通信71 −写真集「日々」のことなど−

写真集「日々」が刊行されたのは1971年のことであった。牛腸茂雄さんと関口正夫さんの二人の写真が集められた、いまでは有名になっている写真集である。写真集では関口さん、牛腸さんの順序で編集され、冒頭には大辻清司氏のテキストが付されている。このそ…