2017-01-01から1年間の記事一覧

ウチそと研通信158 ―時間の積層―

少し前になるが、小田原にある「生命の星・地球博物館」の企画展、『地球を「はぎ取る」』展(地層が伝える大地の記憶)を観た。地層をはぎ取り、型どり、切り取ったさまざまな種類の大型の地層標本で構成された特別展で、地球上で起こったさまざまな出来事…

ウチそと研通信157 −澁澤龍彦「ドラコニアの地平展」で地球儀をみる。−

先月の雨もよいの一日、世田谷文学館で催されている「ドラコニアの地平」展に出かけた。澁澤龍彦の原稿や身の周りの品々を主に展示しているとのこと、また知人からミノルタCLEも持ち物として展示されているのを聞いて足を伸ばしてみたのである。澁澤龍彦につ…

ウチそと研通信156 慰藉と対峙/内と外 榎倉康二〈予兆のためのコレクション〉

最近、榎倉康二の視線をふと感じたのは、イギリスの写真家フランシス・カーニーの作品〈Five People Thinking the Same Thing〉(1998)を見返している時のことだった。双方の写真作品のあいだを繋ぐなにかを感じた、というべきか。カーニーの5枚組の写真で…

ウチそと研通信155 −売野雅勇(うりの まさお)の時代−

今年6月末から7月初めにかけて開催した個展「街の記憶術」は、バブル時代と重なる1980年代半ばの築地の変わりゆく情景を撮影した写真で構成したものだった。来場してくださった方々の中にはあのバブル期のことを知らない若い世代も多く、こちらがたかだか30…

ウチそと研通信154 連続した自分の個展のこと、山崎弘義氏の「Know Thyself」展について

今年の関東の梅雨はあまり雨も降らないままにとうとう明けてしまったようだ。 ここのところ、3月にギャラリー・ニエプスで、そして6月末から7月初めにかけては小伝馬町のルーニィでと個展が続いた。連続しての展示を初めから予定をしていたわけではないけれ…

ウチそと通信153 −吉村朗のこと、いくつかの最近見た展示−

少し前に吉村朗の写真集について大日方さんが書いている。吉村朗は私にとっても気になる人なのでここでほんの少し個人的な覚書を綴っておく。川崎市民ミュージアムでの展示は見ていないが、大日方さんが述べているように、ある時期から吉村朗の写真が大きく…