2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ウチそと研通信37 −雨の日−

土曜の雨の午後、始発駅から乗り込んだ東急大井町線の車内は混むでもなくすくでもない、見知らぬ乗客どうしお互いの存在をそれとなく余裕をもって感知しあえるような、人と人の間隔が程のいい状態だった。平均年齢は若く、周囲でもっとも年長なのはひょっと…

ウチそと研通信36 −ジオラマ−

むかし、はく製が苦手だった。田舎の小さな資料館においてあるはく製。毛がまばらに抜け、ガラスの面玉だけが鈍く光っている。それから田舎の少し大きな家の玄関に飾られていたキジやヤマドリ、タヌキやテン。 ホラー映画の小道具にもありがちだが、気味が悪…

ウチそと研通信35 −見えないもの、見えるもの−

何度読んでみても、ヘンリー・ジェイムスの書いた「ねじの回転」という小説は面白い。 これは一種の幽霊譚とも言うべき小説で、一人の女性が書いた手記を、知人の男性が読み手に紹介する形式をとったものだ。このずっと昔の19世紀の末に書かれた物語は、きわ…

ウチそと研通信34 −回転する円−

非常勤で授業をもっている専門学校から、先日、勤続20年記念の腕時計をもらった。20年も経ったのか。まるで時計が玉手箱のように思える。 腕時計をする習慣はないし、頂戴した日本製のそれは箱に収めたまま、目の前の食卓の上に置いてある(やがてどこか落ち…

ウチそと研通信33 −リンドバーグの映像−

ニューヨークを出発したチャールズ・リンドバーグの愛機ロッキード・シリウス号が、アラスカ経由で北太平洋を渡り、国後、根室を経て霞ヶ浦へ着水するのは1931年8月末のこと。土浦の町の人々に大歓迎されたといわれる模様は、それに先だつ1929年巨大飛行船ツ…

ウチそと研通信32 −大須−

法事で名古屋へ。法事の後、郡上から来た伯母が以前に住んでいた大須に久しぶりに行きたいというので、東京から来た私たち夫婦と、二人の義弟とその家族、伯母とあわせて10名、2台の車に分乗して大須に向かった。大須観音とともに伯母が毎朝参拝してたと…