ウチそと研通信135 −人間博物館−

この夏、妻の故郷である名古屋への帰省にあわせて、名古屋周辺の博物館をいくつか観て回った。その中で、名古屋へ何度も行きながら一度も観ていなかったのがリトルワールドであった。正式な名称は「野外民族博物館リトルワールド」であるが、入口には「人間博物館リトルワールド」とある。
ここの特色は、「野外博物館」として世界各地から移築された伝統的建造物群であるが、入園ゲートのすぐ近くにある「本館」の展示が充実していて面白い。ヒトの進化のはなしからはじまり、生きるための「技術」や「言語」、「社会」、「信仰」など、豊富な資料とともに紹介されている。資料の数の多さにも驚かされるが、それら資料との距離がとても近い。気をつけないとうっかり触ってしまいそうになるくらい近い。当日は休日であったが天候が悪かったためか、来館者は少なく、上野のように人の頭の隙間から展示物を観なければならないようなストレスはなく、たくさんのモノに囲まれながら、じっくりと観ることができた。
そのなかでもとくに面白かったのが映像資料で、ブラウン管テレビと、その手前の押しボタンでプログラム(http://www.littleworld.jp/doc/guide_honkan_2.pdf)を選択するというもので、装置もソフトも古いものだが、貴重なドキュメンタリー映像をたくさん見ることができる。『ナイル川のカバ狩り』(南スーダン、ヌエル、1979)や『イツリの森で象を狩る』(コンゴ民主共和国、ムブティ、1972)などは、ここ以外では観られないであろうと思われる。すべてを観られなかったのが残念、近所にあれば毎週通ってもよいと思う。
各映像のタイトルバックが昔テレビで放映されていた『すばらしい世界旅行』と同じ(?)なので、このあたり(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%AB%8B%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%BC_%E3%81%99%E3%81%B0%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%84%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%97%85%E8%A1%8C)と関係があるのかもしれない。
以前に、閉鎖の危機もあったというが、これだけのコレクションが今も残っているのがうれしい。