ウチそと研通信7 −大判写真ワークショップ−

昨年より写真のワークショップの企画運営に参加している。
東京を4×5カメラで撮影するというもので、第1回目の昨年は浅草を、第2回目の今年は新宿を撮影場所にしている。10年続けたらニューヨークで写真展を開くこと(予定)になっている。参加者は私が通っていた早稲田大学芸術学校の学生たちである。
講師のひとりとして写真家の佐藤信太郎氏を招いている。3年前私は、ある自治体のプロジェクトに参加していて、まちの文化をどう記録、表現すればよいのか悩んでいた。そのときに出会ったのが佐藤信太郎氏の「TWILIGHT ZONE」シリーズである。まちの姿をビルの非常階段あるいは屋上から4×5カメラで撮影したものである。“人工光と自然光が混じりあう夕方から夜にかけて”(佐藤氏のウェブサイトよりhttp://shinsato.cool.ne.jp/index.html)のまちの姿は、その不思議な色合いも美しいが、私が最も興味を抱いたのは撮影場所、その高さである。
Googleや空撮の場合、人間の視覚を超えたその眺めは、どこか人ごとのように見えてしまうが、信太郎さんの場合はほど良い高さで、まちの様子をぱっとひとづかみに理解できると同時に、情報量の多い緻密な画像により、そこに暮らす人々の営みまで感じられるのである。まちを記録するメディアとしてとても優れていると感じたのだった。プロジェクトで4×5を採用することはなかったが、いつか何らかの形で使ってみたいとずっと頭の片隅にあったのだった。
その後、芸術学校の佐藤洋一准教授の働きかけで佐藤信太郎氏を講師に招いてワークショップを開催することになり、私も参加させていただくことになった。
現在、学生たちは各々の計画に従って新宿の撮影を続けている。来年1月には展覧会を開催する予定である。これについてはまたあらためて御案内したいと思う。