ウチそと研通信29 −距離感−

ウチそと研の集まりで浅草演芸ホールへ。最近の落語ブームのせいか1階席は混んでいたため、一同は2階席へ行くことにする。大日方さんが指摘していたが、2階席から見る落語は少し変わった印象だった。
最近、若い人が「上から目線」ということばをよく口にするけれど、それとは意味が違うが互いの視線のすれ違いからか、上手な話し手であっても聞き手のこちら側にどこかすっと入ってこない。他人事というか人の噂話を物陰から聞いているような感じがする。視線の高さとコミュニケーションの関係。いろいろ考察できそうなテーマではある。
この日はなぜか出演者の変更が多かった。家に帰ってニュースを見ると両国で三平の襲名披露口上があったという。楽しみにしていたいくつかの演目が見られなくて残念だった。そんな中もっとも気になったのはアコーディオン漫談の「近藤志げる」だ。最近、雑学大賞というものを受賞したと言っていたが、調べてみるとネタではなくてきちんとした賞らしい。(http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/090218/tnr0902180808001-n1.htm
前に見たときにも同じネタだった気がするからネタばれにはならないと思うので少々触れてみると、その日のネタは誰もが知っている有名な唱歌、童謡の一節を観客に歌わせておいて、そのうる覚えの歌詞の間違いを指摘するというもの。観客が歌ってくれないと成り立たないのだが、前に座っているおばちゃんたちも小さな声だが歌っているし、客席のあちこちから声が聞こえていた。
自称「ナツメロコンピューター」というだけあって、観客からリクエストされた歌は何でも演奏できるという。この日演奏したのは2曲。「湯の町エレジー」と、もう一曲はなんだったか忘れてしまったが、どちらの歌もわたしには少々古くて前の席のおばちゃんたちのように郷愁を共有することはできなかった。しかし昔、校歌斉唱の際、声を出さずに口だけ動かしながらやり過ごしていた子供の頃を思い出して少し懐かしかった。