ウチそと研通信32 −大須−

法事で名古屋へ。法事の後、郡上から来た伯母が以前に住んでいた大須に久しぶりに行きたいというので、東京から来た私たち夫婦と、二人の義弟とその家族、伯母とあわせて10名、2台の車に分乗して大須に向かった。大須観音とともに伯母が毎朝参拝してたという近くの寺の駐車場に車を止めた。ここは大光院といって、お参りすると下の世話にならないらしい。伯母と一緒に手を合わせた。
大須観音はハトが多い。東京ではハトにえさをやることは禁止されているけれど、ここはまだハトのえさを売っている。子供連れがしゃがんでえさをやっていた。東京では懐かしい光景になってしまった。観音様にお参りをした後、一同で商店街を歩く。
4、5年ほど前、大須演芸場をのぞいたことがあった。とてもちいさな演芸場で、その日は入門したてのような18、9の若い女の子から、その少々年上の兄弟子と師匠(?)、もう名を忘れてしまったが上方なのか聞いたことのない同門の噺家が3人ほど出ていた。色物もかなり地味だった印象だけが残っている。
仁王門通門前町通にぶつかる手前に有名なみたらし団子の店がある。だんごも美味しいのだがここは団子を焼いているお婆ちゃんで有名な店だ。この日はお婆ちゃんはいなかったが健在なのだろうか。東京のみたらし団子と違ってやや小さめの団子が長い串に5個ささっている。味も東京のように甘くない。東京でも同じものを探しているが見つからない。わが家の近くの和菓子屋に似たものがあるが、名古屋のものより少々高級で値段も高いのでめったに買えない。名古屋の甥や姪たちはみんなみたらし団子が好きだ。義父も入院する直前までみたらし団子を食べていた。名古屋のソウルフードではないかと思っている。そういえば正月に名古屋では黒豆にかち栗を入れるのだが、かち栗もずいぶん探したが東京では見つからなかった。
もうひとつ大須で有名なのはディスカウントストアだ。大須には大型店があり専門ごとに5店舗にわかれている。最近は東京にも進出しているが、東京にはカメラを扱っている店がないのが残念。ちなみに名古屋では「質」を「ひち」と発音する。ひらがなでの表記も「ひち」。
大須の商店街は500〜600メートル四方の中、8つの商店街で構成され、数百件の商店がびっしりと並んでいる。以前に来た時よりもやや若者向けの店が増えたように思う。東京の浅草とアメ横、中央線の吉祥寺や中野、下北沢や巣鴨を混ぜたような街。東京のように、大人と子供、高齢者と若者の棲み分けがされていないので年寄り向け、若者向け、古い店も新しい店もごっちゃになっている。もしかしたら何か法則があるのかもしれないが見慣れていないせいもあるだろうが、無秩序に並んでいるように見える。骨董市や雑貨屋、中古カメラ店のように視線を泳がせるのが楽しい街だ。