ウチそと研通信51 ―博物誌に寄せて―

今月、10月27日から四谷3丁目にあるギャラリーで写真の展示を行うことになった。展示を括るタイトルは「博物誌に寄せて」とし、40点弱の写真を並べてみることにしている。
今年の夏に小諸のギャラリーで展示した写真を新たに大全紙サイズにプリントし直し、内容も少し入れ替えての展示である。博物館や植物園などの展示物を撮影しまた展示をするという、考えてみると入れ子にしたような写真展示だ。会場も二つの部屋をギャラリー側の好意で使わせてもらうことになった。
博物館や動植物園に惹かれる性癖があることは以前にもこのブログで書いているが、もうひとつ同じような、こだわりめいた好みが自分の中にある。「博物誌」の挿絵や写真にも惹き込まれる様な魅力を感じることがあるということだ。18世紀の博物誌などの立派な挿絵群はもちろんだが、小さな頃に見ていた百科辞典の小さな図版などにも不思議な魅力を感じていたことも思い出す。それらの図版はおおむね小さく、写真などはおうおうにして複写を重ねて不鮮明な場合も多い。平凡社などの百科辞典で調べ物をしても、開いたページのピラミッドやスフインクスの網目が目立つ写真に言い知れぬ広がりと謎を感じて、調べ物をすることより図版をぼんやり眺めていることのほうが楽しくなってしまう事もあった。それらの図版は事がらの解説とつりあうように選ばれているはずだが、私の中では説明されている言葉と遊離した不思議な事物と光景の図版と化してしまうのである。これは単に個人的な感触に過ぎないかもしれないが、ゼーバルトの著作の中の写真に感じる物とどこかで通じ合うような気もしている。今回の展示の写真をプリントしながらそのようなことをあらためて感じている。

飯田鉄写真展「博物誌に寄せて」 2009年10月27日〜11月1日
於 「ルーニー」(247photoguraphy Roonee)
新宿区四谷4−11みすずビル1F
TEL03−3341−8118
mosimosi@roonee.com
http://www.roonee.com

会期中トークショーがあります。
10月28日(水)「博物誌と写真」大日方欣一氏(写真史研究)と対談/8ミリ映画上映
10月30日(土)「街と博物誌」大竹誠氏(造形大学教授)と対談/スライドショー
いずれも19:00から 参加費800円 要予約 お問い合わせは「ルーニー」まで電話またはメールでお願いいたします。