ウチそと研通信52 −フレームのウチそと5−

最近、フレームが気になる。街を撮影するときに、人やモノ、場所の関係をなるべく切り離さないようにとパノラマ写真(※)を撮るようになってからだ。
写真にはいろいろフォーマットがあるが、その角が気になる。写っているものと写さなかったものの境界。写真を撮るときには何を入れて何を入れないか、フレームを意識するのだが、写真を見るときにはあまり意識しない。とくにこの傾向は動画になるとより顕著になる。映画やテレビを見るとき、画面の四隅、角はほとんど見てない気がする。記憶に残らない。
もともと人間の視野にフレームは無い。見える見えないの境界はぼんやりしていて、それを認識するのはむずかしい。それに比べ写真(あるいは映像)の境界ははっきりしている。むしろ、撮影時にはその写る写らないの境界をどこに持ってくるかが写真(映像)の肝になっている。
一方、カメラのレンズは丸い。したがってレンズが作るイメージサークルも丸い。なのに写真も映画も四角い。箱が四角いとか、フィルムの形状とか、単にカメラの構造、システム上の問題ではないだろう。絵画や窓が四角いから写真も四角いのか。いつから人間が作るイメージは四角くなったのだろう。洞窟の壁画や夢にはフレームは無い。
私のように写真をはじめたばかりの新参者が扱えるような簡単な問題ではないと思うが、最近気になって仕方がないのだ。
※ウチそと研通信22(http://d.hatena.ne.jp/uchi-soto/20090126/1232940178
(参考:『四角形の歴史』赤瀬川原平著 毎日新聞社