ウチそと研通信112 −箱の中の箱の中の箱−

八王子市夢美術館特別展「ムットーニワールド からくりシアター Ⅲ」を観てきました。(会期:2013年9月13日(金)〜11月24日(日))
かって世田谷で観たからくり人形たちは箱の中におさまっていたが(http://d.hatena.ne.jp/uchi-soto/20081030/1225362677)、今回の作品は、ひとつの箱ではなく、3つあるいは5つと複数の箱が連動する、より華やかな仕掛けになっていた。
タイマーによりスイッチが入ると灯がともり物語が始まる。箱の中心でゆるやかに回転する歌姫とその背後のバンドマンたちの間の空気と、それらを観ている我々との間の空気に違いはなく、箱からこぼれる光の粒が展示室内の壁面を流れ出すと、展示室全体が「からくり箱」になってしまう。ふと稲垣足穂の「六月の夜の都会の空」という言葉を思い出す。できれば平日、来館者の少ない時間帯に独り占めすることをお勧めします。