大山裕

ウチそと研通信44 −フレームのウチそと4−

以前にも紹介したムットーニ氏の展示を見た。(「ムットーニ ワールド からくりシアター」八王子市夢美術館) その日は入館者が多く、昔の紙芝居のように、ひとつの「からくり」の周りを10人ほどで囲んで見ることになった。氏の作品は常設展では見たことがあ…

ウチそと研通信40 − 一人称の展示 −

連休に足利の栗田美術館に行った。伊万里と鍋島を専門に集めている美術館だ。広い敷地の中にテーマごとに展示館が点在している。好みの分かれるところではあるが、1万点といわれる陶磁器には圧倒される。しかしもっとも印象に残ったのは展示室入り口に掲げ…

ウチそと研通信38 −フレームのウチそと3 交差点−

最近できた地下鉄駅の階段を上がってすぐ、通りの向こう側、交差点に面してそのバーはある。一見、看板がよく見えないのですぐには何の店だがわからないが、よく見ればガラス越しにカウンターとその奥の壁面を埋めるワインの瓶が見えるので酒場とわかる。以…

ウチそと研通信36 −ジオラマ−

むかし、はく製が苦手だった。田舎の小さな資料館においてあるはく製。毛がまばらに抜け、ガラスの面玉だけが鈍く光っている。それから田舎の少し大きな家の玄関に飾られていたキジやヤマドリ、タヌキやテン。 ホラー映画の小道具にもありがちだが、気味が悪…

ウチそと研通信32 −大須−

法事で名古屋へ。法事の後、郡上から来た伯母が以前に住んでいた大須に久しぶりに行きたいというので、東京から来た私たち夫婦と、二人の義弟とその家族、伯母とあわせて10名、2台の車に分乗して大須に向かった。大須観音とともに伯母が毎朝参拝してたと…

ウチそと研通信29 −距離感−

ウチそと研の集まりで浅草演芸ホールへ。最近の落語ブームのせいか1階席は混んでいたため、一同は2階席へ行くことにする。大日方さんが指摘していたが、2階席から見る落語は少し変わった印象だった。 最近、若い人が「上から目線」ということばをよく口に…

ウチそと研通信26 −原風景−

先日、東京都写真美術館の柴田敏雄展を見た。昔、誰だったか外国のミュージシャンが日本の田んぼを見てコンピュータチップのようだと言っていたが、几帳面にコンクリートで覆われたのり面を見ていると新しいけれどどこか懐かしい、美しいけれどなんとなく痛…

ウチそと研通信22 −メンタル マップ−

私たちは知らず知らずのうちに、心の中に地図をつくっている。 たとえば通勤や通学でいつも通る道の風景や休みの日の散歩道、旅行先で見た知らない土地の風景など、その時々の自分自身の知識や経験、目の高さで蓄積されてゆく。だんだんと歳を重ねてゆくと、…

ウチそと研通信19 −ハコモノ好き−

繰り返しになってしまうが博物館や美術館が好きでよく見に行く。旅先でもできるだけ博物館や美術館を見ている。小さな施設でもその土地ならではの特徴があり、いろいろと発見があって面白い。どちらかといえば美術館より博物館、資料館の方が好きかもしれな…

ウチそと研通信16  −岡本太郎美術館−

久しぶりに生田緑地へ。 学校の近くにあったので良く通った場所だ。季節ごとにいろんな野鳥を見ることができる。 民家園には何度か行ったことがあるが、プラネタリウムは見た記憶がない。青少年科学館の外観が古いということもあるだろうが、理由はよく覚え…

ウチそと研通信12 −フレームのウチそと2−

見上げるほどの高さの板塀に囲まれた空間。表面は黒く焼かれ、その上にらくだ色のかたまりがうねうねと描かれている。細かく繰り返されるウロコ模様はすぐに認められるが、視野からはみ出る全体像は中々把握できない。じっと見ているとウロコの間に鋭い目が…

ウチそと研通信10 −フレームのウチそと−

「ムットーニのからくり劇場」を見に世田谷文学館へ。 作者のムットーニ(武藤政彦)氏によれば、“立体のカラクリ箱であり、動き・光り・そして音楽などの要素が絡み合った、小さなストーリーボックス”(http://www.muttoni.net/about/index.html)である。1…

ウチそと研通信7 −大判写真ワークショップ−

昨年より写真のワークショップの企画運営に参加している。 東京を4×5カメラで撮影するというもので、第1回目の昨年は浅草を、第2回目の今年は新宿を撮影場所にしている。10年続けたらニューヨークで写真展を開くこと(予定)になっている。参加者は私…

ウチそと研通信4 −動画と静止画−

終了間近の東京都写真美術館の「液晶絵画」展に行く。 マルチメディアという言葉が陳腐に聞こえるほど、現在ではさまざまな表現手法が交じり合って、それぞれの境界は曖昧になってきている。私は、かつて通った専門学校では映画と写真の両方を学び、最終的に…